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M&A仲介業者から「今月中に最終契約を締結しましょう」と期限を設定されたら?期限設定の思惑と経営者が取るべき対応

  • seikei-lawoffice
  • 9 時間前
  • 読了時間: 4分

 当事務所へのM&Aの相談で、以下の悩みを口にする相談者様が結構いらっしゃいます。

  • 「仲介業者から『今月中に最終契約を締結しましょう』と強く急かされている。」

  • 「決算期までに終わらせたいと言われたが、本当にそこまで急ぐ必要があるのか。」

  • 「期限までに応じなければ破談になってしまうのではないか。」

 M&Aではスピードも大切ですが、自身の思いをしっかり伝えることや、内容を十分に理解して契約を締結することは、法的に非常に重要です。

 今回は、M&A仲介会社が期限を設定する理由と、その期限にどのように向き合うべきかについて、中小M&A・事業承継に特化した弁護士の立場から解説します。


仲介会社が期限を設ける主な理由

 仲介会社が最終契約(株式譲渡契約等)締結の期限を設定する背景には、合理的な理由と、仲介会社側の事情の双方が存在します。


① 期限を設けることで交渉が進みやすくなる

 期限がないまま交渉を続けると、検討事項が先送りされ、案件全体が停滞しがちです。

そのため、あらかじめ締結日を設定することで、売り手・買い手双方が優先順位を上げて準備を進めることができます。これは実務上、「期限効果」と呼ばれる考え方です。


② DD(デューデリジェンス)の結果が古くなる

 買い手が実施するデューデリジェンス(DD)は、その時点の会社の状況を前提にした調査です。

 調査完了から数か月経過すると、財務状況や契約関係、労務状況などが変化し、追加調査が必要になることもあります。

 そのため、DD終了後はできるだけ早くSPA締結まで進めたいという合理的な事情があります。


③ 決算・税務上の都合

 決算期や事業年度との関係で期限が設定されることもあります。

 例えば、

  • 売り手が退職金や株式譲渡益の税務上のタイミングを調整したい

  • 買い手が新事業年度から新体制をスタートさせたい

 といった事情がある場合には、一定の期限設定には合理性があります。


④ 仲介会社側の営業上の事情

 一方で、すべての期限設定が当事者の利益だけを考えて決められているとは限りません。

M&A仲介会社の中には上場会社や上場準備会社も多く、四半期や決算期の売上計上を意識する場面があります。

 そのため、当事者よりも仲介会社側の営業スケジュールが優先され、契約締結を急かされるケースも実務上は見受けられます。


仲介会社が決めた期限は絶対ではない

 仲介会社が提示した期限は、法的な義務ではありません。

 もちろん、競合する買い手が存在する案件などでは、時間をかけることで取引機会を失う可能性があります。そのような場合は、一定のスピード感も重要です。

しかし、

  • 最終契約(株式譲渡契約等)の内容を十分確認できていない

  • 表明保証や補償条項に納得できない

  • DDで判明したリスクへの対応が終わっていない

 このような状況であれば、期限よりも契約内容の確認を優先すべきです。

 一度締結した契約は簡単にはやり直せません。急いで契約すること自体が目的になっては絶対にいけません。


拙速な契約が招くリスク

 売り手にとって特に注意すべきなのは、表明保証条項です。

 十分に内容を確認しないまま契約すると、売却後に過去の法令違反や簿外債務などが判明した場合、買い手から損害賠償を請求される可能性があります。

 一方、買い手にとっても、DDで判明したリスクを契約に反映しないまま買収すると、そのリスクを自ら負担することになりかねません。

 M&Aの最終契約は「後で修正すればよい」という契約ではありません。だからこそ、締結前の確認が極めて重要なのです。


急かされたときの対処法

 仲介会社から契約を急かされた場合には、まず「なぜその日までに締結する必要があるのか」という理由を確認しましょう。

 決算や税務、DDの有効性など合理的な理由があるのであれば、その理由を理解した上でスケジュールを検討できます。

 一方で、十分な説明がないまま期限だけが示される場合には、「契約内容の確認が終わるまでは締結できません」と伝えることも重要です。

 また、「弁護士による契約書の確認が完了してから締結する」という対応は、相手方にも理解を得やすく、不要なトラブルを避ける有効な方法です。


まとめ

 M&Aではスピードも重要ですが、それ以上に重要なのは、売り手・買い手双方が契約内容を十分に理解し、納得した上で契約を締結することです。

 仲介会社が設定した期限には合理的な理由がある場合もありますが、期限を守ることだけを優先し、契約内容の検討がおろそかになってしまっては本末転倒です。

 当事務所では、中小M&A・事業承継に特化した弁護士が、最終契約のリーガルチェックや契約条件の交渉支援を数多く手掛けています。

 もし仲介会社から契約締結を急かされ、不安や疑問を感じている場合には、契約を締結する前にぜひ一度ご相談ください。契約書に潜むリスクを丁寧に確認し、安心してM&Aを進められるようサポートいたします。

 
 

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誠 啓 法 律 事 務 所

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